東海集中豪雨長期調査

福井大学医学部
酒井明子

要 旨

東海集中豪雨発生(2000年9月12日)直後、2ヶ月後、2年半後の災害初期から中長期にかけて、N町に在住する被災者および診療所や保健所に勤務する援助者を対象に心身への影響に関する追跡面接調査を実施した。水害直後の被災者の身体症状は切創などの外傷、目の痛み、腰痛、筋肉痛が主であったが、その後頭痛、疲労、睡眠障害、胃腸障害が1年半後まで継続し、2年半後(2003年1月)には、咳の持続、ヘルペス、手のしびれの訴えへと変化した。心理面では、水害直後は、気分障害の訴えが70%あったが2年半後は降雨や9月の時期の急激なうつ症状が25%であった。特に子供は雨が降ると精神的に不安定となり不登校にもなった。一方、援助者の多くは長時間水に浸かり、救助作業を行ったため、災害直後は極度なストレス状態の持続による体調不良・血圧上昇・不眠の訴えが増加し、心臓発作、糖尿病による高血糖、ストレス性潰瘍、神経症的症状の発症があった。援助者自身も被災者であるが仕事や家屋の片付けを実施しながら水害後の経過のまとめや報告に追われ多忙となり2年半後もストレス状態にあった。以上のように、水害時における初期・中長期調査では心身の症状の持続と時期別による特有の症状の出現が確認された。

●連絡先:E-mail sakaiaki@fmsrsa.fukui-med.ac.jp

Vol.5 No.2 Sep.2003




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