理事長挨拶

第10期理事長 大野かおり

 
 このたび日本災害看護学会第10期理事長を拝命いたしました大野かおりでございます。
 第10期の役員は15名の理事と2名の監事,代議員は第9期に引き続き個人43名,組織3名となりました。学会員のニーズに応え,災害看護の発展に資するべく,精一杯取り組んでいきたいと存じます。この2年間,どうぞよろしくお願い申し上げます。
 
 ご存じのとおり,本学会は阪神・淡路大震災・淡路大震災や地下鉄サリン事件などを契機に1998年12月に発足しました。今期は学会設立より25年目を迎えますが,災害は甚大化,複雑化し本学会への期待と役割はますます大きくなっています。また,災害は人々の健康だけでなく生活や環境,社会に大きな影響を及ぼすため本学会だけで対応することは難しく,さまざまな学協会,人々と連携・協働しながら活動することが大切になりますし,人とまち自体が災害への対応力を備える必要があります。さらに世界的にも大災害が頻発しており,海外における災害支援も本学会の重要な役割となっています。
 
 これらを踏まえて,学会創設時から積み上げてきた叡智を引継ぎつつ,今期は災害看護活動体制の強化に努めます。まちの減災ナース指導者育成事業を推進するとともに,災害看護のエキスパートによる活動体制の強化を図ります。発災時に地元の力を発揮して対応できるしくみづくりとして,組織会員との協働モデル事業を検討します。また,スペシャリストの育成だけでなく,看護者一人ひとりの災害看護への関心を高め,災害看護実践の裾野広げを目指して災害看護のリカレント教育にも取り組みます。災害看護活動にかかわる診療報酬・介護報酬についても検討し,災害看護活動の評価につなげたいと思います。
 

 災害看護学の知識体系化および教育プログラム体系化の推進も重要な課題となります。看護基礎教育や災害看護活動における教育者やリーダーを育成するとともに,災害看護ケアにおけるエビデンスの検討,災害看護関連用語の検討・見直しなどにより,災害看護教育における知の体系化を促進します。また,災害看護研究の発展のために,投稿論文の質の向上を図ります。さらに,災害看護に貢献する若手会員の教育・研究・実践を支援します。
 
 災害看護に関する国内外ネットワークの充実を目指します。2024年には世界災害看護学会が神戸で開催されますので,我が国の災害看護活動を広く発信するとともに国際的研究ネットワークの更なる発展につながる機会にしたいと思います。また,海外の災害時支援にも取り組みます。国内においても,引き続き看護系学術団体や災害関連団体との連携を深めて災害看護の深化につなげます。みなさまの声を反映するとともに,迅速な情報発信のためにホームページやニューズレター,学会誌の質の向上に努めます。
 
 これらの活動を円滑に行うためには,個人会員・組織会員のみなさまのお力添えが不可欠になります。みなさまにご支援いただきながら,災害の及ぼす生命や健康生活への被害を極力少なくすることを目指して災害看護の発展に努めたいと存じます。ご協力・ご支援賜りますよう,どうぞよろしくお願い申し上げます。

2023年10月




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会員数:2023年9月末現在

名誉会員10名
(うち物故会員4名)
個人会員:1,292名
組織会員:33組織
賛助会員:3組織

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