JSDNニュース
最新号

JSDNニュース No.33
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次回年次大会からのメッセージ
~第19回年次大会の3つの特徴~

鳥取看護大学 近田 敬子

この度の年次大会を準備しながら、今までに経験したことのない事に気づかされています。この度の年次大会には3つの特徴があると思われます。
まず、学会準備体制についてです。日本災害看護学会第19回年次大会を引き受けることを決めたのは、新設大学として開学間もない平成27年の6月頃でした。災害看護学会員が数名しかいない本学で、受諾が可能であるか否か悩みました。大学の内外で、出会う人々に可否を尋ねてみると、口を揃えて「可能にしましょう!」という力強いメッセージを貰いました。そこで、教授会で会員・非会員問わず、鳥取看護大学という組織全体で準備して行く意思を固めて、今日に至っていることが特徴の一つです。ゆえに、鳥取らしい雰囲気のある学会になればと、教職員が心を込めて準備に当たっている現状です。手づくりの「おもてなし」感が満載の学会も、おつなものと思っていただけると幸いです。ぜひ、温泉をも楽しみの一つに加えて下さい。
次いで、平成28年10月21日に倉吉市や三朝町などの学会予定地が、鳥取中部地震(震度6弱)の影響をもろに受けました。地震直後には、頻回に及ぶ余震の恐怖を感じながらも、日本災害看護学会の助力を得て、教職員は避難所や災害ボランティアセンターへの支援、被災地域「まちの保健室」の開催および訪問活動など、災害支援の実際を経験しました。開催会場が復旧したのは過日の4月30日で、やっとほっとしている心境です。このように被災県での学会の開催に何か運命のようなものを感じざるを得ません。学会の教育活動委員会による当地でのキックオフセミナーの開催においては、震災直後とあって多くの住民の参加が得られました。このように、住民の方々が災害看護学会に大きな関心を寄せてくださっており、応援を受けての被災地での開催であることも特徴の一つと言えます。
最後に、このように震災等を体験し、生活復興とともに歩んでいる地域での年次大会になりますが、高齢化が一段と進んでいる地域でもあるため、ソーシャル・キャピタルの醸成が要となると確信しています。換言して、中山間地域における災害看護支
援のありようが見えてくる学会でもあると捉えています。否、人間関係の希薄さが論議されている都
会地においても同じことが言えるのではないでしょうか。
今や、「災害は忘れる前にやってくると」言われています。体験や経験を英知に変え、災害看護学のさらなる発展に向けて、年次大会では多角的に大いなる論議がなされることを願っています。多くの皆様のご参加を心よりお待ちしております。

テーマ:「ソーシャル・キャピタルの醸成と災害看護」
日 時:2017年8月25日(金)~26日(土)
会 場:*鳥取県倉吉市未来中心(〒682-0816 鳥取県倉吉市駄経寺町212-5
倉吉パークスクエア内)
*三朝温泉 三朝館(〒682-0122 鳥取県東伯郡三朝町山田174)
詳細は、ホームページをご覧ください


国際交流委員会による、「仙台防災枠組
ワーキンググループ」立ち上げと活動について

国際交流委員会 神原 咲子(高知県立大学 看護学部)

持続可能な社会の実現を目標とし、地球上最新の合意である仙台防災枠組を踏まえ、日本災害看護学会国際交流委員会では、仙台防災枠組ワーキンググループを立ち上げ活動しています。
これは、安全・安心に資する看護(災害看護)とは何なのかを問い直し、過去の保健活動、国際連合国際防災戦略事務局(UNISDR)やWHOなどの健康危機管理に関するガイドライン・統計と災害看護の研究論文や資料を広く収集し、看護が寄与してきた部分と残された課題などを明確にする活動です。
去る1月7日、理事、評議員に呼びかけ、東京医科歯科大学、日本赤十字看護大学、兵庫県立大学および高知県立大学の4か所を結んだテレビ会議システムをお借りし、遠隔会議を行いました。内容としては、WHOが仙台防災枠組みを「Health」の視点から考えるために提唱している「Bangkok Principle」の以下の7項目について、各拠点が分担して話し合い、最後に全体発表して意見交換を行いました。
(1) 災害リスク削減の方針・計画と国家および保健戦略の緊急時・災害リスク管理プログラムを包括的に健康の体系的な統合を推進すること。
(2) 国の健康のための災害リスク管理のための能力国際保健規則(2005)の実装と強靱な保健システムの構築を強化する保健当局およびその他の利害関係者間の協力を強化すること。
(3) 保健施設やインフラを含め、緊急時や災害リスク軽減における人間中心の公共および民間投資を推進すること。
(4) 健康教育と訓練への災害リスク軽減を統合し、災害リスク削減に医療従事者のキャパシティ・ビルディングを強化すること。
(5) 災害関連死亡率、罹患率や障害のデータをマルチハザードな早期警告システム、ヘルスコア指標と国家のリスク評価に組み込むこと
(6) 生物学的な危険性を含むすべての危険のための情報の共有を含む科学技術などの分野横断的で国境を越えたコラボレーションの提唱や支援をすること。
(7) 地域および国の政策と戦略、法的枠組み、規制、制度の一貫性と更なる発展を推進すること。
例えば、?などでは、災害看護のスペシャリストの育成強化し、災害発生時の分野横断的な問題に対して、情報・資源も限られる中で全体を俯瞰し、様々な職種と協働し、リーダーシップを発揮する高度な人材を大学院等で育成する。そして、企業、行政機関、国際機関等での看護職の進出と活躍することにより、様々な災害関連部門との協働的・横断的訓練の推進できる。災害に特化した実践・教育研究だけではなく、あらゆる看護の専門性の中で、災害に関連する内容を浸透させ進化させていくことなどの意見がまとめられています。
現在、国際交流委員会で、以上の内容を取りまとめて、理事会で意見をうかがいながら、「仙台防災枠組に対する看護界からの提言案」を作成しています。これを5月にメキシコ・カンクンで開催される国連の防災会議「Global Platform2017」で本学会の活動によるコミットメントとして提出し、議論に加えられます。最終的には、日本災害看護学会においてパブリックヒアリングなどを経由して、理事会で検討し、政府や日本学術会議、関連学会等の関係機関に提言として提出する予定です。更に、この提言を実現可能にするためにも、続けて学会企画や研修会などで議論していきたいと考えています。今後も関心のある会員の皆様のご協力を宜しくお願いします。


ネットワーク活動委員会報告

ネットワーク活動委員長 石井 美恵子

ネットワーク活動委員会調査・調整部は、国内災害を常時モニタリングして状況に応じ、発災直後に現地に赴く初動調査等の初期調査やその後の継続調査を実施しています。
平成28年10月21日に発生した鳥取地震では、負傷者数十人と人的被害は多くはありませんでしたが、広範囲に避難所や福祉避難所の開設が行われたことや鳥取県内では災害支援ナースの活動は初めてだったこと、看護大学と看護協会との連携が円滑に行われたという情報から災害看護の知見の集積につながるのではないかと判断し継続調査の実施を決定しました。
2名の調査・調整部メンバーが、発災から90日が経過した平成29年1月22日~23日に、鳥取県看護協会、鳥取看護大学、行政保健師を対象に聞き取り調査を行いました。あいにく鳥取県では、1月22日~24日にかけて強い冬型の気圧配置となり、平野部でも50㎝前後の積雪を観測し、死者1名、重軽傷4人の人的被害、道路通行規制や公共交通機関の運休・遅延などの交通障害などが発生しました。そのような状況の中で臨機応変な現場判断と行動により安全な調査活動が実現できたことは、災害看護の実践スキルの高さによるものだと実感しました。調査結果については日本災害看護学会誌に緊急レポートとして掲載されますので、そちらでご確認、ご一読いただければと思います。
また、平成29年3月14日から3月16日には、平成28年4月14日、4月16日に発生した地震で甚大な被害を受けた熊本県の継続調査を実施しました。ネットワーク活動委員長と2名の調査・調整部メンバーで、熊本県看護協会,熊本赤十字病院,熊本大学医学部保健学科,益城町役場を訪問しました。
熊本地震では、調査・調整部による初期調査や先遣隊派遣、ネットワーク活動委員会による中長期的な支援ニーズ調査によって熊本プロジェクトが立ち上がりました。熊本プロジェクトは、行政からの依頼を受けて、平成28年9月から平成29年3月末にかけて仮設住宅入居者を対象とした全戸訪問調査や行政職員の健康相談などの支援を実施しました。全戸訪問調査等の保健センターへの支援は、県外保健師2名が長期派遣されることとなったため支援を終了することとなりましたが、行政職員の健康相談は平成29年4月から平成30年3月末までの依頼を受け、引き続き熊本プロジェクトとして支援をすることとなりました。
熊本地震での日本災害看護学会としての活動は、シームレスな被災地支援を実現したことや行政からの依頼を受けての支援活動ということが特筆すべきことではないかと思います。活動の詳細や調査結果については日本災害看護学会誌での緊急レポートとして報告の予定となっています。また、日本災害看護学会第19回年次大会では、大会長が熊本地震に焦点を当てたシンポジウムを企画されましたので、ネットワーク活動委員会が共催するような形でシームレスな支援と連携をテーマにディスカッションを深めていきたいと考えています。シンポジストの皆様と、またフロアの皆様とも活発な意見交換を行って、有意義なシンポジウムにしていきたいと思います。多くの皆様のご参加をお待ちしております。


第19回年次大会 市民公開講座
三角巾を用いた応急処置とレスキューフーズの試食

社会貢献・広報委員会

この夏、日本災害看護学会 第19回年次大会が鳥取で開催されます。社会貢献・広報委員会では、毎回、市民公開講座を企画し、多くの方に参加いただいております。今年は、「三角巾を用いた応急処置とレスキューフーズの試食」を企画しました。
「三角布を用いた応急処置」では、三角巾の使い方はもちろんのこと、身近なものでの救護法についても学ぶ機会としました。災害看護学会の会員の皆様にとっては、災害が発生すると多くのけが人がでますし、大切な家族の中にもけがを負う方もあるかもしれません。看護職にとって、三角巾を用いての応急処置は必要な技術であり、けがをした方の苦痛を和らげ安心につながる援助となります。しかし、一般の方々にとって、平時にこのような技術や援助を学ぶ体験は滅多にないため方法を知らない人が多いと思います。
今回の年次大会は地域住民が集まりやすい施設で行われるためこの企画は、一般住民にとっていざという時に役立つ知識・技術を学ぶよい機会になると思います。更に、「レスキューフーズの紹介」を行います。災害発生時の食のイメージは、乾パンや冷たいおにぎりやパンを想像する方が多いのではないでしょうか。ライフラインが途絶えた中、自宅や避難所で生活を送るとき、温かい食事を摂ることができたら心が休まると思います。このようなレスキューフーズを食べる機会も少ないと思いますので、今回の公開講座を通して、試食を頂き災害の備えに繋がればと考えています。鳥取では地震被害がありましたので市民の皆様にも、多く関心を持ってもらえると思っております。
一般の方々にとって、応急処置を学ぶ機会を作ることやレスキューフーズを街で見かけても、自ら災害に備えるという動機づけは簡単ではありません。平時にできること、それは次に起こる災害発生に向けた準備です。今回、社会貢献広報員会の市民公開講座の企画では、今できることを、実際に体験しながら学び、次の災害に備えていくことに繋がって行けば良いと考えています。
ニューズレターを読まれた会員の皆様から、この企画をご家族、友人、知人の方々など、周りの大切な方に伝えていただけたらと思います。鳥取で開催されます年次大会へ是非ご参加いただければと思います。参加が難しい方は、身近でこのような企画をして頂き、周りの大切な方々に情報をお伝えいただけると、皆で次の災害に備えられるのではないかと考えます。市民公開講座の参加のほど、お待ちしています。


編集後記


このたび第33号を学会(鳥取県開催)の2か月前にお送りすることができてほっとしています。大会長からは被災地開催ならではのメッセージをいただき、国際交流委員会からは学会が提言案のパブリックヒアリングの場になるという、学会での論議に期待する内容が届きました。ネットワーク委員会からは鳥取地震と熊本地震における活動を通して最新情報を報告していただきました。災害時における看護職者の役割は益々重要になっています。今年4月に発表された「防災基本計画修正(案)」ではDMAT活動終了以降の医療チーム派遣の協力に「日本看護協会」が追加されました。組織的に訓練され十分な能力を持った看護チームの活動が大きな成果を上げてきた証だと思います。その中心的役割を果たしている本学会はさらに研鑽を積んでいかなければならないと感じています。本委員会は学会の広報を主として担ってきましたが、33号は現委員での最後のNLとなりました。これまで、NLの発行にご協力いただきましてありがとうございました。引き続きNLをよろしくお願いします。

社会貢献・広報委員会:山崎達枝、神崎初美、城戸口親史、三浦まゆみ、牧野典子(記)







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会員数:2016年6月末現在

名誉会員:4名
(うち2名は物故会員)
個人会員:1541名
組織会員:42組織
賛助会員:6組織

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