平成30年7月豪雨 先遣隊報告7/16(月):岡山県総社市

平成30年7月豪雨:2018年07月16日 岡山県総社市
活動者:三澤寿美・趙由紀美
 
08:30 総社市役所内にて、保健医療関係者ミーティングに参加
09:40 総社市内の保健医療福祉に関する発災後の状況について同市保健師より説明を受ける。
10:40 地元看護教員とともに総社市昭和地区の作原(さくばら)集落内を巡回
11:20 社会福祉法人 梁善会が経営する施設3箇所を訪問、現状と発災当時の状況について説明を受ける。
・ 小規模多機能居宅介護 縁(えにし)
・ 特別養護老人ホーム さくばらホーム
・ デイサービスセンター さくばらランド
13:40 岡山県内で活動中の他の先遣隊と合流、情報共有
15:50 看護教員に同行し昭和公民館避難所を訪問、草田集落の視察
16:50 総社市役所において同市保健師、看護教員、県保健師、他県応援保健師とともに情報を共有
  
【総社市保健師からの説明】
・2005年の市町村合併により、真備町は倉敷市と合併したが、生活圏は変わっていないこともあり、総社市内に倉敷市真備町の住民約500名が現在も総社市内に避難している状況(高梁川を挟み真備町と反対側の地域)であった。
・総社市下原地区の住民は吉備路アリーナに避難していたが冷房がないので閉鎖し、久代公民館、西公民館へ移動してもらった。その際、ご近所同士が一緒の方がよいだろうとの見解があり、住所によって滞在する避難所を分けることになった。
・昭和地区の住民は高梁川上流方向の昭和・草田(くさた)・美袋(みなぎ)・作原(さくばら)に暮らしており、豪雨の際、早めに避難していたため、住民は亡くなっていない。発災当時に総社市民宅で過ごしていた知人が一人亡くなっている。
 
【作原集落の状況】
・住民とボランティアによる住宅の片づけが行われていた。泥の乾燥による土埃が舞い上がる中での片づけ作業であった。
・市保健師からの要望受け、片づけ中の住民に向けて救護所に保健師・看護師が駐在していることを看護教員とともに作原集落を巡回し、周知した。巡回後、住民から保健師・看護師の駐在場所の再確認のための問い合わせが複数あった。
・救護所の市保健師は、総社市で小学生の頃からずっと暮らし、市保健師自身によると同氏の両親は心配な素振りは見せないが、懸命に働いている自分のことを見守ってくれていることは感じているとのこと。市職員・保健師として総社市民を守ろうする気概が感じられた。
・被災された高齢女性の住民は、家族とボランティアが自宅の片づけ作業を実施している間、庭のテントの下で座って見守りをしていた。長時間座位であることの影響か発災後に徐々に痛み増し、圧迫骨折と診断されたとのこと。診断後も腰にベルトは巻くものの日中は座位のまま片づけ作業を見守り、臥床してはいない様子であった。
 
【社会福祉法人 梁善会 特別養護老人ホーム・デイサービスセンター・小規模多機能居宅介護】
発災当日の宿直者から、「自分の話が日本の復興、日本のこれからの災害への備えに役立つのであれば話をさせていただく、情報を発信して欲しい」と、心身の疲労が蓄積している様子であったが、発災当日の行動や思いを情報として提供していただいた。
・発災当日は宿直者1名と夜勤スタッフ5名、避難してきた旧知の民生員と地域住民の合計8名で101名の利用者の安全確保に勤めた。101名の利用者もスタッフらも全員無事であった。
・施設に隣接する立体駐車場の2階に避難した旧知の民生委員と地区の住民からの要請で、施設から駐車場までロープを投げ、ロープを伝って施設に避難してこられるようにした。住民の避難を受け入れたことによってマンパワーが増えたと認識している。
・昭和56年に施設が建設される際に、土砂崩れの危険性と高梁川の氾濫について危惧していた。川が氾濫しても浸水しないように、土地をかなりかさ上げして、施設を建設した。これまでも大雨のたびに土砂崩れや川の氾濫を懸念し、早め早めの対応をとってきた。これまでの経験から浸水しないと信じていた。自分たちにでき得る対策はとっていても、今回は甚大な被害があった。
・当日は、国土交通省の水位計データと雲レーダー情報を随時確認しながら勤務していた。夜間の避難が困難な状況にならないように、夜間に発生した際の夜勤スタッフの負担を考慮して、人手がある日中の間に利用者を土砂崩れに影響されそうな部屋からより安全なスペースへ水平避難させていた。そのおかげで、発災時には利用者全員と施設内の全体を把握して判断し、対応することができ、利用者全員を守ることができた。
・停電後には、ポータブルのディーゼル発電機で利用者のベッド一つ一つを上限までの高さにあげ、さらにギャッジアップし顔が水に浸からないようにした。水位があがらないことを祈るだけであった。通常は転倒時対策で最低床としている。結果的に、利用者が水に浸かることはなかったが、施設外へ避難できるまでベッド上にいていただいた。
・備蓄してあった3日分の食料品を管理栄養士に電話で相談しながら、利用者に食事として提供した。
・施設内と施設周辺の水はなかなか引かず、他の職員も施設まですぐにたどり着くことが困難であったため、他の職員が到着するまでは施設内に残っていた職員で利用者全員のケアを行った。水か引くまでは、膝まで水に浸かりながら、食事介助、おむつ交換等を行った。
・一番困ったのは、電話対応であった。こちらから発信することよりも、利用者・職員の家族からの安否確認電話、職員個人からの出勤不可の連絡と電話対応が大変であった。電話がひっきりなしに鳴り、1階のホールと2階の事務所を何度も往復しなければならなかった。ご家族もこちらに気遣ってはいたものの、心配で電話をかけてきたことは理解できる。今後は緊急時の利用者ご家族への連絡網などがあった方がよいと考えている。緊急事態がおこっていることと利用者の安否を、職員があらかじめ担当者を決めて連絡する仕組みをつくり、出勤していないスタッフ1箇所だけの連絡で、あとは出勤中の職員が電話対応に追われなくても利用者のご家族には連絡がいく仕組みを考えている。
・今後、土砂崩れと川の氾濫という危険な立地に、県からの認可が降りるのかを心配している。今後の事業再開の見通しが読めない。
・今後の方針を決める臨休会議を7日の夕方に開催した。施設長が、職員の意思を確認・尊重し、今できることをみんなでやろうと復旧作業開始した。今後どうなるかはわからない。
・老人福祉施設協議会の協力で全利用者を他の施設で受け入れてもらっている。各施設から車で利用者を迎えに来ていただいた。心強かった、本当に助かった。受け入れてくれた施設では、一時的な受け入れのつもりで引き受けてくれていると思う、でも再開のめどが立たない。再開のめどが立っていないので、いつまで引き受ければよいのか心配されていると思う。受け入れてくれた施設には負担をかけていると思う。
・法人代表者より、学会に期待することは、情報発信である。マスコミが数社取材にきたがローカル放送で少し放映されただけだったと聞いているとのことであった。
・施設の他の職員より、「今後どうなるかわからない。目標があれば頑張れる、進んでいけるが・・・今は先が見えない。でも、今できることを精いっぱいやるしかないと思って、職員は皆、頑張っている状況である」と話される。
・張り替えたばかりだった床材を剥がし、床に小麦粉をまいて粘着を改善する工夫をしながら、施設内の片づけを行っている。
・ベッドを含む機材や物品が汚水に浸かり、どれが綺麗かわからず、施設内のもの全部を処分する可能性も考えているとのことであった。
・小規模多機能居宅介護の職員によると、当時は2人のスタッフで20数名の利用者を2階に避難させた。1階の大部分が浸水した。停電のため、当日は懐中電灯1本で対応されたとのことであった。
・真備町のことは報道されるが、こちらでも大きな被害が出ているのに、こちらの被害は報道されない。広く、浅く、でかまわないので総社市でも甚大な被害が出ている現状をぜひ多くの人に知ってもらいたいとのことであった。
・学会には、施設の現状について、ぜひ情報発信してもらいたい。
・社会福祉法人 梁善会 さくばらグループでは、県内で認知症ケアの指導者をしている職員も複数在籍しており、職員の人材育成にも熱心な法人施設であることがうかがわれた。
 
【昭和公民館避難所訪問】
・和室居室で臥床し続けているために生活不活発になりそうな高齢者3名と話す。自分で料理して食べることができたら便秘や嘔気の体調不良も改善できるかもしれないと話される。元々畑仕事したり、散歩を日課にしたりと活発に活動していた方々が避難所で、動かず、常に臥床しているような状況になっている。配給される食事は大変有難いが、今まで毎日してきたように自分で料理して食べることができたら便秘や嘔気の体調不良も改善されそうと話される。生活不活発の予防のために、日常生活の中の活動について話し、食事、排泄、運動について、情報提供を行う。高齢者の様子について、避難所担当保健師に報告する。多職種チームで高齢者の活動と健康状態を維持する支援が必要か。
・電燈をつけずに、薄暗い居室にいた成人の子と母親と話す。母親の表情が乏しく、会話中に「後悔している」と涙ぐむ。母親の様子について、避難所担当の保健師に報告する。
 
【草田集落】
・小規模多機能居宅介護の職員より現状を伝えて欲しいとすすめがあり、50軒中45軒が浸水した草田集落を視察した。住民の方の不在のままで、日中は窓等をすべて開放している住宅が目立った。
・収穫前のぶどうは摘果し丁寧に袋がかけられていたが、水没してほとんどが泥をかぶっており商品にできない可能性がある状態に見えた。
 
【総社市役所において情報共有】
・日中に把握した情報の共有と、地元看護教員が考える今後の展開などを関係者で相談した。
・県保健師との会話中、保健師が尽力していることを労うと涙ぐまれることあり。
 
課題
・避難している高齢者の生活状況から健康障害を予防するために、高齢者の活動に対するリハビリテーション専門職の支援につなぐ。
・外部支援チームと当該地域担当の保健師をつなぐ。
・当該地域担当の保健師が、支援チームの情報を把握・共有できるツールを利用できるように支援する。
 
以下の写真は、社会福祉法人 梁善会 さくばらグループの関連施設及び周辺である。
さくばらグループの関連施設及び周辺1
写真右側の坂と左側の建物(ディサービスセンター さくばらランド)の間にある特別養護老人ホーム さくばらホーム
 
さくばらグループの関連施設及び周辺2
さくばらホームに向かう坂には土砂が20cm以上積もっていた。
 
さくばらグループの関連施設及び周辺3
土地をかさ上げして施設を建設し、雨の度に早期対応を行ってきたさくばらホーム
 
さくばらグループの関連施設及び周辺4
駐車場2階に避難した住民の要請でロープを渡し、住民の避難を受け入れた。
 
さくばらグループの関連施設及び周辺5
小規模多機能居宅介護「縁(えにし)」 炎天下の中、ボランティアの協力により施設内を清掃・整備している。屋外に出された家具類は全て処分予定。
 
さくばらグループの関連施設及び周辺6
特別養護老人ホーム さくばらホーム 屋外にすべての家具やポータブルトイレを出して施設内を清掃・整備している。
 
さくばらグループの関連施設及び周辺7
停電の中、ポータブルの発電機でベッドの高さを一台ずつ上げ、利用者全員の安全を確保した。
 
さくばらグループの関連施設及び周辺8
倉庫の中まで浸水したが、備蓄食は倉庫の一番上に保管していた。
 
さくばらグループの関連施設及び周辺9
トイレも使える状態にない。
 
さくばらグループの関連施設及び周辺10
周辺の畑では、収穫前のぶどうが水没した。




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