平成30年7月豪雨 先遣隊報告7/16(月):岡山県倉敷市真備地区

平成30年7月豪雨 7月16日(月)岡山県倉敷市真備地区での活動
活動者:大野かおり、小村佳代

当日の状況(2018年7月16日)
 7月7日深夜の浸水から9日目。倉敷市真備地区 気温35.4℃(15時)天候晴れ。
浸水後の泥は乾き、車が通行すると道路には土煙があがり白く煙る。生活道路の両脇には泥にまみれた粗大ごみが山積されている。
信号は止まっており、主要交差点では警官が交通整理をしている。真備地区では通行止め・一方通行箇所があり、迂回しなければならない箇所が数か所あった。
広範囲にわたって、住宅は1・2階の家財が流出していた。水田地帯であるが、稲は根こそぎ流された、もしくは泥の層によって埋まっている状況。標高が少し高いところでは、緑が多くみられるが、浸水被害のあった地区では、一帯が茶色い景色である。
仮設トイレを主要施設(JA、病院、公園など)に2基ずつ設置している。営業しているスーパーは1か所のみ(昨日営業再開)で、コンビニエンスストアは営業ができない状況であった。

1. 行程ならびに訪問先
07:00~07:55 集合、移動、現地入り
08:00~08:30 吉備真備駅周辺の地区踏査
08:30~08:40 岡山県立倉敷まきび支援学校 訪問
09:00~09:20 ライフタウンまび 訪問
        (移動)
09:45~10:00 特別養護老人ホームシルバーセンター後楽 訪問
        (移動)
10:10~11:00 まきび病院 訪問
        (移動)
12:00~12:30 デイサービスセンター米寿 訪問
(昼食・移動・待機)
13:40~14:00 三澤・趙チームと合流、情報交換
        (移動)
15:00~15:30 倉敷市保健所 連絡訪問
        (移動)
16:20~16:50 特別養護老人ホームシルバーセンター後楽 再訪
        (移動)
18:00     終了

2. 活動内容
(1)岡山県立倉敷まきび支援学校
   応対者:高等学校教頭、副校長
小田川堤防決壊場所の近く。
災害ボランティアセンターが設置され受付開始していた。普段の小中高校在籍人数は350人。生徒への人的被害はなかった。現在休校中で、生徒は放課後デイサービス等に通所して対応している。教員は交代でボランティア受付を担っている。

(2)ライフタウンまび(居宅介護支援センター)
 駐車場内は業者、ボランティアらしき人の車で満車状態であった。1階は物がすべて搬出されており、玄関前には泥をかぶった車いす、シルバーカーが山積されていた。 
業者が玄関の水清掃を行っており、「(本日はここの)施設関係者はいない」との情報を得た。TELでの問い合わせで「普段120人~200人の利用者がいるが、現在は業務困難であるため、気になる利用者は倉敷成人病センターで受け入れしてもらっている。業務を遂行しようにも移動手段がなく、信号が止まっている状況のため困難である。」との回答を得た。
地域包括支援センター(委託型)も設置されているが、状況は不明であった。

(3)特別養護老人ホーム シルバーセンター後楽
(居宅介護支援事業所、特別養護老人ホーム)
   応対者:施設長、居宅介護支援事業所管理者(主任介護支援専門員・介護福祉士)
① 施設の状況:小高い山の中に存在する施設で、幸い浸水から免れライフラインへの被害はなく、給食も被災地域外の業者に外注していたため物流の被害も少なかった。
② 利用者・支援者およびサービスへの影響:
・ 通常、常勤者4人、非常勤1人で業務を行い、地域の150人~160人の要支援者、要介護者の対応を行っている。真備地区に住む人は、市町村合併(2005年倉敷市と合併、それまでは吉備郡真備町)の経緯から真備地区内の介護サービスを受けている人が多い。
・ 本施設の利用者、グループ施設の利用者合わせて7人の利用者が犠牲となった。
・ 現在は大半の方が近隣の市町村へ避難(避難所、親戚宅)されている。要介護者は県内の施設でショートステイを利用して対応している。
・ 避難所で生活している入居者には、被災後5~6日目よりストレスから不安定な心身状態となり生活できなくなったという情報を得ている。
・ 被災後は送迎に混乱(真備地区内の渋滞)が生じているため、デイサービス(25名)を休止していたが、明日(7/17)より15人のデイサービス(入浴サービス含む)を再開予定である。
・ 経営グループの他施設は大きな被害を受けたため、入居者(35人)の避難支援と受け入れを行った。デイサービスを休止していたので、その分の食事を避難されてきた35名に配食できた。
・ スタッフでは、ケアマネージャー4人のうち2人に住宅被害があった。ケアマネージャー協会の会員は良好な関係性で、必要時には支援を要請できる。
・ 浸水によってグループ施設や町内事業所の利用者データは消失した。利用者の状況を共有できるネットワークがなかったことや紙データによる保管であったため利用者の情報を失った。これは安否確認の遅れ要因の一つであると捉えている。また、携帯電話が水没し連絡が取れず、情報を引き出すこともできなかった。データの喪失は今後の支援への継続が絶たれたことになるので、再度、一から情報収集をはじめる。
・ 今回、同じグループの老健施設から、全員無事に避難できたのは、日ごろから、ハザードマップの浸水区域内に施設があることを認識していたことが挙げられる。7/6昼頃、施設長から全職員に緊急招集の可能性が高いことを連絡されており、避難勧告が発令された時点で職員は招集され、22時前から避難行動を開始できたことが功を奏した。

(4)医療法人社団造山会 まきび病院(精神科病院、訪問看護あり)
   応対者:看護部長、相談室主任(作業療法士)
①施設の状況:倉敷市真備地区内で唯一建物被害を免れた施設である。しかし、被災後8日目まで断水(7/15通水)が続き、固定電話は不通である(電気、ガスはOK)。
②利用者・支援者およびサービスへの影響:
・ 被災2日目から訪問看護師が中心となって、2部隊で避難所を回り安否確認を行っている。通院患者がいないか、避難所にいる人の顔を見て回り、患者を見つけたら薬を届けているが、全員の安否確認はできていない。
・ 真備地区では避難所の被災者名簿が作成できていないこと、固定電話が不通であり、携帯電話もつながりにくい状況にあるため、安否確認は難航している。
・ 水島地区の避難所の患者に対しては、水島協同病院が薬に関して介入してくれている。
・ 現在も避難所への訪問は継続しているが、在宅療養者の安否確認に移行している。避難所での患者対応はDPATに任せている。
・ 訪問看護の利用者は約50人。看護師3人(非常勤1人を含む)、作業療法士2人で対応している。訪問活動は被災後も継続している。
・ 入院患者の食事は水の確保が難しい(断水時、給水車が施設1日分の給水を行ってくれた)ため、質素なメニューでやりくりしている。
・ 真備地区被災後、一般科の診療や定期薬の処方について問い合わせがあるが、精神科特有の限られた薬物しか対応できない。このような場合への対応をはじめ医療機関の情報が入ってこないため、確実な情報提供を受けたい(EMISでつながっていない)。診療可能な医療機関の診療時間や診療科など確実な情報を地域住民へ提供することで地域との関係性を保持していきたい。
・ 看護部では、看護職55人中10人が被災し、勤務が回らない状況にある。倉敷市内の精神科病院[A病院4人(7月末まで)、B病院人数不明(7/14~)]から看護師の応援が得られた。しかし、いつまで看護師の応援が得られるか長期的な見込みが立っていない。日本精神科看護協会から状況確認の電話があったが、支援をどこまで頼んでよいか悩んでいる(1か月くらいで終わってしまうのではないか)。岡山看護協会へも連絡したが、つながらなかった。精神科医のネットワークで兵庫県の2病院より看護師、保健師の中長期支援について話をいただいているが、具体的には進められていない。
・ 当院にかかっている患者で入院を必要としているというケースに対応したい。訪問看護窓口(深井看護師、吉村作業療法士)を置いているので、連絡をもらいたい。⇒kuraDROに連絡し、情報共有を依頼。

(5)デイサービスセンター米寿
   応対者:管理者(生活相談員)、同グループ統括管理者
①施設の状況:小田川近くの1階建ての施設で浸水による大きな被害あり。現在は職員により1階の片づけが終了し、物がない状況であった。床や壁は清掃した後ではあるが、まだまだ泥が流れ込んだ痕跡が見られる。
②利用者・支援者およびサービスへの影響:
・ サービス利用者25名で,常時20名前後の利用がある。利用者のうち1人が犠牲となった。歩行に支障があったが、歩行器使用のリハビリを行い、近々要介護度がⅤからⅣに変更できるかもしれないような状況であった。7/9に自宅で水が引いたのちにご遺体となってみつかった。この情報はNHKニュースで知るところとなった。大阪に住む息子へお悔やみとして連絡を取った際に「NHKの取材を受けたのは、母親の死を知らせる手段がなかったためであり、皆に知らせることができると思ったからである」と聞いた。
・ 現在は業務を休止せざるを得ないが、その間、同グループのデイケア施設等が利用者を受け入れ対応してくれている。利用者には認知機能の低下が進み不穏な状況になっている方も多い。
・ スタッフは12名中、2名が被災した。人的な被害はなかった。被災した2名も休み返上で片付けを行っている。
・ 小田川の過去の氾濫のことは既知であった。そのため大雨情報が出ると小田川の水位を頻回に確認(目視)していた。7/6、夕方確認したときも水位は一番下の青ラインであったが、16:30には利用者をご自宅に帰すこととし、全員が帰宅できた。その夜は携帯を枕元において緊急連絡に備えた。
・ 小田川氾濫後の安否確認は、7/7の朝、管理者がTELで真備地区を中心に行った。
・ 同グループのデイケア施設からは、業務再開の話をもらっている。これは大変うれしく、なんとか再建したいという思いを持てるようになった。利用者からも業務再開を望む声がある。
・ 地域によっては、利用者の家族にも災害に関する備えの意識があった。上二万地区の利用者家族からは7/6に連絡を入れた際に「近くの池があふれ、田が一面水面に変わっている。がけ崩れの心配もあるから避難準備を始めている」と情報があった。情報提供していただいた利用者・家族は、現在二万小学校に避難している。
・ 反対に川辺地区は新興住宅地が多く、これまでの小田川氾濫について知らない住民が多く、避難のタイミングを察知するのが難しかったのではないか。
・ 今回は夜間に発災したが、これが昼間のうちに起こっていたら利用者への被害はもっと大きかったと思う。以前から避難訓練を行っていたが、訓練時は心身への負荷が少ないので、利用者は速やかに行動できていた。今回の災害を振り返ってみて、実際の避難には地域の支援が必須であると感じた。しかし、どこまで支援が得られるか不確かである。地区の民生委員は任務上、独居者から安否確認の訪問を始めたため、在宅療養者に関する連携には難しさがあると感じた。日頃からいざというときに対応できるような関係性を築かなければならない。避難行動をいかに地域の人々に支えてもらえるかがとても重要と感じた。
・ 今回、被災後は同じグループの施設から片づけの応援があった。復旧に時間がかかるが待っていてくれる利用者もあり、また同じグループの協力者がいるので、前向きに取り組める。

(6)その他
地区踏査の計画で訪問予定であった施設のうち数か所は、建物の損壊が大きく、業務が停止されていた。事業所機能をどこに移しているのかも不明であった。

3.課題
・ 在宅で生活している療養者・障がい者で避難できた方の多くは、被害の少なかった施設や避難所でサービスを利用していた。住み慣れた自宅でサービスを受けられない方には認知機能の低下などが現れており、できるだけ早く家族とともに生活できるような支援が必要である。しかし、住まいの再建には時間を要するため、避難先でのサービスの充実が望まれる。特に避難所では療養生活のしにくさや他の被災者への遠慮などから十分なサービスを得にくい現状もある。福祉避難所あるいは福祉避難室の開設などにより、必要なサービスを受け、少しでも生活しやすい環境を整える必要がある。サービスを提供するためにはマンパワーの確保も重要であるが、事業所・スタッフも被災しており、たとえ外部からの支援者があったとしても、受け入れて采配することは難しいと考える。そのためには在宅ケアに特化した外部支援のコーディネーター役割ができる人材および派遣のしくみが必要と考える。
・ 在宅で生活している療養者・障がい者の避難行動は、家族やサービス提供者の力だけでは困難であり、地域住民・地域組織による共助が必要で、具体的な助け合いのしくみづくりが望まれる。
・ ハザードマップの浸水危険区域の捉え方や高齢者の避難について、地域住民の認識の違いが避難行動開始の判断を左右しており、速やかな避難行動開始に向けて地域住民に対する啓蒙の必要がある。住民性や文化など地区特性を踏まえたうえで、過去の災害を振り返りながら、これからの防災・減災について住民とともに考えることが大切である。
・ 在宅ケアを担う事業所の多くは小規模である。今回、規模の大きい事業所ではグループ内での協働により利用者の避難や搬送先の確保を行っていた。小規模施設においても地区内の複数の事業所によって非常事態に協働できるしくみが必要である。
・ 確実に保管できる記録類の管理について検討が必要である。すでにCloudを利用した管理体制の事業所もあるが、小規模事業所でも利用可能な方策の導入が望まれる。
・ 被災しながらも地域医療を担っている病院には、看護師のマンパワー不足が大きな課題であった。長期的な支援が望まれる。

4.その他
・ 7/15の倉敷市保健所での情報収集は本日の活動に大変有益であった。
・ 渋滞になると片道1時間以上かかった。また通行止めや一方通行、無信号のところもあり、車のナビゲーションは当てにならなかった。




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