平成30年7月豪雨 先遣隊報告7/12(木):岡山県倉敷市

平成30年7月豪雨 7月12日(木)6~11時 岡山県倉敷市での報告
活動者 臼井千津、野島敬祐、黒瀧安紀子

1.岡田小
1)避難所
(1)避難者の生活
・6時起床、9時消灯となっている。朝6時に1日の予定が放送される。放送時に、熱中症、エコノミークラス症候群予防の啓発メッセージを伝えている。
・住民の方は、5時前頃から起き始めている。6時半のラジオ体操に、高齢者は参加していた。
・避難所運営に従事していた教員を本日から、子どもの学習室を作り、日中子どもたちが過ごし、教員が子どもの様子を見ることができる環境が作られることになった。
(2)食事
・朝食は袋詰めパン2本であった。昨日はおにぎりであり、日によって異なっている。
食事の配布は放送と同時に並び始める方法であり、早い物順ではあるが、食事の量が十分あるため、慌てて取りに行く、という様子はない。
・高齢者でパンは食べにくいので、「朝食を食べない」と話す者もいた。このこと市職員に伝えたところ、「食事状況を見ながら、食べられていなければ、保健室や職員室でおかゆを食べてもらうことは可能」とのことであった。
・昼食は、体育館前で、ぶっかけうどん、オムライス等の炊き出しが行われた。
・飲み物が水のみで、お茶がなく、「コーヒーなどを飲みたい」という声もあった。
(3)物品
・粉じん対策に、マスク、手袋は順次配布することになり、各所に自由に取れるように置かれることになった。
(4)環境
・予定に8:30から掃除の時間が設けられるようになり、居住スペース、トイレも住民が清掃することになった。
・ボランティア受付や小学校避難所本部のある1階の職員室や保健室の廊下が、土足禁止となった。
・校舎外すぐに個室シャワーの設置を行われる準備がされていた。
(5)避難者の様子
・巡回時に挨拶程度の声掛けのみで、気になるケースとして引き継いだ方は血圧測定と話を聞いた。また、血圧が普段高いと言った方には、血圧測定し、5分程度話を聞いた。話を聞けた者は「疲れているが食事は取れており、水も飲めている」とのことであった。常備薬がないことを口にされていた。
2)健康関連
(1)保健室にて対応
5時くらいから訪室者あり。11時までに約15名が訪室。擦過傷、腰背部痛、便秘、熱中症疑い、投薬希望等であった。ドクター診察を望む人に勧めた人は、6名であった。
(2)巡回にて対応
気になる者9名の巡回を行う。9名のうち1名のみ会えた。昨日血圧が高かった方に声をかけ、再度測定。150/90で高かったため、内服を勧める。
服薬できておらず、体調を崩し始めてきた喘息の子どもがおり、医療班の診療を紹介し、受診してもらうこととなる。
(3)気になるケース
体育館の認知症の方は、血圧(150/90)で高く、アムロジピンを服薬。内服薬なくなり、また本日7月12日より20日までショートスティとなり、お迎えが来るとのことであった。前日11日、本日12日の血圧と内服薬がなくなったことをメモに下記、薬袋に貼り付け、見える場所に置いておいた。要配慮者にはショートスティについて、DWATに情報提供した。
3)健康関連の体制整備
養護教諭、県の保健師、夜勤看護職で、小学校で行われる8時のミーティングに参加する。その会議にて、その日1日の動きが説明され、各部門の問題を共有する場となっている。養護教諭より「小学校の子どもたち対象のことや保健室で必要な資料コピー、印刷などの支援としたい」申し出があり、県の保健師の了承を得た。今後、保健室は18時~翌朝までは夜勤看護職、日中医療班が来るまでは県の保健師、医療班が来た後は、県の保健師が避難所内を巡回し、対応することとなった。気になるケースがあった場合は、夜勤看護職、県の保健師と共有し、DWAT、DPATに繋げることにした。
本日作成した様式で、DWATの持っている情報と日本災害看護学会先遣隊が持っている情報を共有し、1つのデータに合わせ、その様式で今後申し送りしていく体制とした。
日赤医療班、TMATが診療に来ていた。擦過傷などの診療を希望する住民が18時~21時にいることを伝え、「医療班をずらしてきて、夜間に医療班がいるように調整を検討する」とのことであった。7月12日夜間は、TMAT(医師と看護師)が夜勤をすることとなった。
4)情報共有体制の整備
これまで、医療班の診療では、災害診療録を使用し、保健室への来室者は対応したものが各自で記録し、口頭で共有してきた。気になるケースに関しては、避難所の地図に手書きで気になるケースが書かれた地図を使用し、各自で書き足しながら、口頭で共有してきた。このため、情報共有するための様式を作成し、情報のストックと、記録していく流れを整備した。
来室者は、来室記録(日時、時間、名前、年齢、避難場所、主訴、対応)を記載する様式に記載される。来室者が医療班の診察を受けたい場合は、災害診療録に名前、連絡先等が記載され、医療班診察待ちの診療録を置く場所に置いておく。患者以外のことで申し送りが必要な内容は、日時名前の記載欄がある様式に記載し、申し送り時に使用する。
5)指定避難所以外の避難所:ふるさと歴史館
(1)避難者に関して
避難者数は24名であり、顔見知りが集まった避難所のようである。訪問時は3名のみであった。
(2)避難所の運営
避難している者が避難所を運営管理し、避難者名簿を作成しており、毎日どの家族が避難所に泊まるかを把握していた。
(3)環境
展示室、事務室、待合い室で平屋作りでこじんまりとしている。事務室を避難所運営のための部屋としている。クーラーが効いており、土足禁止で床の汚れもなく、掃除が行き届いている。トイレはないが、岡田小の体育館横のトイレを使用している。
(4)避難者の様子
高齢の女性が高血圧で服薬していたが、現在服薬していないとのことから、測定すると150/90であった。薬局薬剤師が、服薬していた薬の一覧のメモを届けてくれ、持っていたため、それを持って受診するように勧める。
「他の避難者は家の片づけにでており、動くことができないという人はいない」とのことであった。
(5)食事や物資
岡田小に必要なものを取りに行っている。食事も岡田小に取りに行っている。他に、親戚や知り合いが持ってきたというみかんやトマトなどがあった。親戚手作りのおにぎりビニール袋4袋分、パン、おにぎりなどもあった。。
寝具なども入っており、「必要なものは岡田小で調達できるため困ってはいない」とのことであった。
6)アセスメント
(1)岡田小
生活リズムが整えられる環境となってきており、職員も支援を受け、避難所運営が落ち着いてきている。
健康面に関しては、11日と変わらず擦過傷、眼の違和感、腰背部痛などが多い。家の片付けから帰ってきた時やお風呂から帰ってきた際に、保健室により処置を求められていることが多いことから、医療班を時間差で配置する方向性の検討に繋がり、12日は夜勤の医療班を配置されることとなった。
また、食事は野菜が少なく、便秘を訴える人が増えてきている。野菜が支給されるように伝えていく必要がある。認知症や介護度が高い方など気になるケースの方はショートスティや入院などに繋がってきており、避難所内で支援が必要な人が減ってきている。ただ、避難者の入れ替わりが続いているため、随時気になるケースのアセスメントと、DPATや医療班との共有が必要であると考える。
情報共有での問題も、様式を作成し、共有するツールを使うことにより情報がわかりやすくなり、共有しやすくはなった。しかしまだ運用し始めたばかりであり、申し送りを重ねるうちに修正が必要になる可能性はある。
口腔ケアについてアプローチできていないため、状況を把握すると共に、歯科医や歯科衛生士による巡回の必要性を検討する必要がある。
(2)ふるさと歴史館
食料、物資があり、顔見知りが過ごす避難所であり、避難者の運営で問題は起こっていない。トイレがないため、時々、仮設トイレの必要性がないか確認する必要がある。また、1日に1回は巡回し、様子をうかがうことを継続する必要性はある。




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