平成30年7月豪雨 先遣隊報告7/10(火):岡山県倉敷市 

平成30年7月豪雨  岡山県倉敷市 7月10日(火)
活動者:臼井千津,野島敬祐、黒瀧安紀子
活動場所:倉敷市立岡田小学校、薗小学校
1.避難所のライフライン・環境
1)岡田小学校
・学校全体を避難所として使用。校舎、体育館にも避難者がいる。
職員室に教員や職員、派遣職員が詰めており、保健室が救護所となっている。リスク高めの高齢者、子ども乳幼児、妊婦の方は校舎1階を避難場所とするようにしている。
・水道× 下水○ 自衛隊給水車が校庭に来ている。
・電気○
・7月10日から土足禁止になり、部屋内はきれい。廊下には乾いた泥などがあるが、ボランティア、市職員で掃除をし、清潔は保たれている。
・保健室、職員室、図書室にクーラーあり。クーラー無い部屋には、扇風機、送風機がある。体育館も扇風機が入っていたと記憶している。
・トイレは、バケツの水で流して使用可能。スリッパあり、履き替えているが、数時間で床は水や泥で汚れてくる。手洗いは、袋に貯めた水を流して手洗い可能。
2)薗小学校
・ライフライン状況は、以前より電気は開通しており、本日水道も復旧した。しかし、まだ濁りがあり、飲水は難しい状況である。
・インターネット状況は悪い。自由に使える衛星電話が設置してある。

2.避難所の状況
1)避難者数
・岡田小学校:750名
・薗小学校:200名
・日中:片付けのために、高齢者、子ども以外は片付けに水が引いた7月10日本日より出始めている。昼食は避難所で取るため、片付けに出た人も帰ってきている。
2)関った医療福祉系の支援
・岡田小学校養護教諭 1名
・医療班 DMAT(香川大学)、AMAT(全日本病院協会災害時医療支援活動班)、日赤
・福祉班 DWAT(災害派遣福祉チーム)(職種は明確ではないが、本日話した方は京都府庁職員、華頂短期大学教授)
・岡山県保健師、徳島県保健師
→ 本日、日赤統括医師、岡山県保健師、DWAT、小学校養護教諭、日本災害看護学会で話し合いの場を持ち、組織体制の確認を行い、情報共有した。詳細は下記に記載する。
3.活動内容
岡田小と薗小で体制が異なるため、小学校で分けて報告する。
1)岡田小学校
(1)保健室のアセスメント・支援
①活動体制
岡田小 養護教諭の教員1名が、9時—5時まで勤務されている。この方が地域に精通しており、開いている地域の病院の紹介、避難所に避難されている人の把握をされている。保健室で救護活動する医療班の対応もしている。医療班は保健室に来られ、11時頃—15時頃まで診療している。個人ボランティアで入っている助産師がおり、岡山市在住で平日は10-15時頃まで活動可能である方が来られていた。
②保健室に来られる人の状況
擦過傷でバンドエイド、日常飲んでいる薬がないため欲しいという人が多い。マスクや衛生物品が欲しいと来られる人も多い。昼休みに避難所に帰って来られてきた方が擦過傷で回りが発赤腫脹しつつあったが、バンドエイドだけ取りに来られ、医師の診察を勧めるが忙しいから、と断られることもあった。熱中症のような子どもが休みにも来ていた。
医療班での診療は下記の通り。
合計42名(来室34名、避難所内巡回診療8名)
擦過傷や皮膚疾患等:7名、高血圧:6名、脱水:2名、肩・腰痛:2名、服薬希望:5名(高血圧の人も含む)、便秘:2名、虫さされ:1名、便秘:2名、水虫:1名
(2)避難所のアセスメント・支援
環境面は、上記1.避難所のライフライン・環境参照。
食事関しては、内容把握できていない。食べられているとは聞いており、量が足りない様子はない。丼ものを運ぶ子どもの姿は見た。住民との会話からうどんもあったようである。炊き出し等は見かけてないので、行われていないと推測する。昨日の昼は、スイカ、バナナ、リンゴが昼食後に届いた。スイカは切ったものを持った人が避難所内を廻って、配る姿もあった。水、お茶類に加えて、衛生物品、衣類も届いている。本日7月11日の夕食、朝食の情報収集を行う予定である。
睡眠状況は、高齢者の方は眠れていないと口にされている。本日7月11日の夜、様子を把握する。
介護度が高い方が5名前後、臨月の妊婦が1名(会えていないが)おり、日中は高齢者と子どもがいる状況である。介護度の高い方のうち、ケアマネとの面接、入院先が決まった方、親せき宅で過ごせるかた、ショートステイに繋ぐ予定の方、など概ね医療福祉に繋げてきている状況である。これらの情報を医療班、DWAT、日本災害看護学会、徳島県保健師で同じ資料を持って共有し、今後も共有していくこととなっている、ショートステイに入所を勧めている方は家族が納得されておらず、ショートステイの手配や手続き進めながら、入所を勧めていく予定である。
日中避難所にいる方の状況は把握できてきているが、夜間に帰って来られる方のニーズが把握しきれていないため、今後保健室で看護師を常駐させながら、把握し、対応する必要がある。
(3)医療福祉系の組織化への参画
これまで、医療班、養護教諭、保健師等で情報共有の場がなく、組織体制が作られていなかったため、日赤の統括医師と共に、現在入っている医療福祉系のメンバーが入り、体制を整え、役割を確認した。
・医療班は日赤(派遣されてくる医療班との連携、災害カルテの保管)
・衛生面は保健師(掃除の仕方のポスター作製し、ボランティアに指導。今後もボランティアで行ってもらえるように整えていく)
・要配慮者の夜間は日本災害看護学会、日中はDWATと連携で見守る。
・日中の保健室対応は養護教諭
上記のように、当面の活動メンバーの整理と役割分担を行った。これらの体制等については、日赤の統括医師より保健所で開催されている会議に報告されることになった。
・当面の活動者の予定
・岡田小学校養護教諭 9時~5時まで保健室に常駐
・医療班 日赤 7月8日から継続して入ってきており、今後もしばらくは入る予定。日程は不明
・福祉班 DWAT 1週間同一の人<クムレ地域公益活動推進センター 組織支援専門員>がおり、3~5名が入れ替わりで入る予定。
・岡山県保健師(7月10日まで)、徳島県保健師(7月10日から14日日中早い時間まで)、保健師間で連携できており、岡山県保健師から徳島県保健師に申し送りされている。
・日本災害看護学会 10日 臼井、11日 野島、黒瀧、
夜間対応する医療職が、日本災害看護学会のメンバーのみのため、夜間対応する医療職が必要である。
(4)その他
・エコノミー症候群の心配があるため、黒瀧・野島で配布用リーフレットを印刷し、明日現地入り時に持っていく。また、熱中症予防、食中毒予防のリーフレットも印刷していく。熱中症予防や手洗いのポスターはところどころに貼られてはいる。
・DMAT医師から「高齢者の口腔ケアの心配がある」とのことから、歯科医師会から派遣して欲しい旨、日赤統括医師、保健師に伝え、双方から派遣依頼のアプローチしてもらうことになっている。
2)薗小
(1)保健室のアセスメント
①活動体制
保健室において養護教諭の1名が、9時—5時まで活動している。地域に精通しており、開いている総社市内の病院の紹介、避難所に避難されている人の把握をされている。臨月の妊婦と中国人家族を要支援者と考え、保健室の中で生活させていた。養護教諭は保健室内で活動することは少なく、体育館など巡回していることが多い。このため、保健室に不在の事が多く、保健室内の要支援者の継続した観察は行えていない。また、けがの処置についても、体育館の受付である市の職員に訴えることが度々あり、保健室としての機能を果たすことが非常に困難な状況であった。薗小では、医療チームが来校していること助産師などの他職種ボランティアが来ているという情報が入っておらず、岡田小学校と比して、情報不足があると考えられる。さらに、岡田小学校と同様、夜間の医療従事者が不足している。以上のことから、具体的な情報収集方法や継続した看護職の派遣体制確立が急務である。
②保健室に来られる人の状況
片付け作業中に負傷することが多く、下肢や手指の擦過傷、軽度の脱水、高血圧が多い。処置を行い、総社市内のクリニック等の受診をすすめた。
(2)避難所のアセスメント
支援物資が隣の岡田小学校と比して少なく、要求してもなかなか届かない状況があった。岡田小学校より衣類やタオル類、飲料を受け少し分配した。
両避難所とも一人の養護教諭を必要とする活動が多く、負担が増している。このことからも、外部の看護職者ができることを選別し、負担を減らす方法を探りながらも、外部からの継続した派遣体制も必要である。
3)指定以外の避難所
(1)真備ふるさと歴史館
・小学校横にあるふるさと歴史館に避難している人が30名ほどいる。指定避難所ではないため、物資が届かない、医療班が来ているという情報がない、などがある。要配慮者も数名いる様子であり、DWATが情報把握していた。日赤統括医師から市職員に相談するが、「指定避難所ではないため、職員派遣は難しいのでは、」ということであり、日赤統括医師から保健所で開催されている会議で報告することとなった。
(2)薗小学校に隣接している公民館
自然発生の避難所が存在した。避難者は30名程度であり、中には2名ほど要介護避難者(寝たきり状態)が過ごされていた。毎日、地元の訪問看護師が介入されており、福祉避難所のような役割を果たしていた。しかし、避難所として認識されておらず、医療資源や物資、情報が圧倒的に不足しており、早急の対応が必要であった。薗小学校に巡回に来ていたHuMA(災害人道医療支援会)の看護職に状況を説明し、「明日以降、公民館への巡回が可能」と返事をいただいた。このような避難所の存在を周知させ、現場のニーズを行政や医療チーム等に挙げていく必要がある。

4.地域の様子
地域は、車移動と聞いた範囲での把握になるが、岡田小、薗小の周辺は、水が引き、車で移動できるが、所々通行止めがあるようである。集落内は道が狭く、車で行き交うのが難しい狭さである。「浸水地域はハザードマップ通りである」と住民が言っていた。被害を受けた家は、2階の窓もビニールシートで覆われている所もあり、家財道具を出す作業が見られた。養護教諭の話から、支援者のふりした窃盗団が来ているという噂があり、知らない人に片付けを頼みたくない、という住民の気持ちがあるようである。
倉敷市保健師が避難所周辺を少し歩き、避難できず自宅にいた方の状態が悪く、救急搬送に繋げたと聞いた。

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