日本災害看護学会設立の趣意

1995年は阪神・淡路大震災や地下鉄サリン事件など、未曾有の災害が発生した年でありました。その後も次々と災害が発生し、看護職はこれらの災害に対して様々な活動を行ってまいりましたが、これらの体験を通して、災害看護に対する系統的な知識が不足していることを実感いたしました。また、国際的にも災害看護学の知識体系の整備が必要なことや災害看護のエキスパートが少ないこと、および災害看護を探求する研究のネットワークがないことがわかりました。研究の分野では、事例報告や被災体験及び看護活動の体験談等は多く報告されているものの、研究報告、特に被災した人々の長期的な看護上の問題に関係する研究は少なく、災害時の長期的看護に関する研究の必要性を痛感いたしております。

 
これまで各方面で、災害看護に関するデータの蓄積や災害看護を模索する活動がなされてきていますが、看護界全体としての災害看護の活動方法を体系化し、共有できる知識体系を確立する必要があると考えます。国内外ならびに学際的なネットワークを発展させ、研究・情報の蓄積を通して災害看護学の構築を目指すことが今後の社会的な使命でもあるといえます。

 

私たちは災害看護とは、「災害に関する看護独自の知識や技術を体系的にかつ柔軟に用いるとともに、他の専門分野と協力して、災害の及ぼす生命や健康生活への被害を極力少なくするための活動を展開すること」と定義しました。すなわち、災害看護とは防災から初期及び中長期的活動を含むものとしてとらえております。
21世紀日本の災害看護に関連して、これから検討しなければならない課題は以下のようなものであると考えます。

 

1)災害看護に関する知識体系を確立する。
2)災害看護に関する活動体制及び方法を開発する。
3)災害看護学としての教育プログラム体系を確立する。
4)災害看護に関する国際的研究ネットワークを開発する。
5)その他災害看護に関わる諸処の課題に取り組む。

 

こうした諸課題に体系的に取り組むために栄知を集め、それを共有し、真摯に批判しあう学会組織の活動が不可欠だろうと思います。そこで「日本災害看護学会」を発足させたいと考えます。
災害看護に関心をお持ちの方々に上記学会の設立を提案し、入会をお誘いいたします。

 

1998年12月13日
日本災害看護学会設立発起人一同




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会員数:2016年6月末現在

名誉会員:4名
(うち2名は物故会員)
個人会員:1541名
組織会員:42組織
賛助会員:6組織

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